企業の社会的責任と企業寄付活動の基準の確立
先祖代々伝わる家族の物語があり、それが後に続く世代が目指す理想の中に息づいている。そんなご家族も多いのではないでしょうか。これはファミリーカンパニーである当社にも当てはまります。そして、当社で受け継がれている伝統の1つが、企業寄付活動です。
慈善事業の歴史は、1886年にSCジョンソン社を創業したサミュエル・カーティス・ジョンソンにまで遡ります。サミュエルは毎年、自身の収入の10パーセントを当社のホームタウンであるウィスコンシン州ラシーン市の都市改良事業に寄付していました。
慈善事業とボランティア精神:創業当初から引き継がれる当社の価値観
コミュニティの若者の支援に熱心であることで知られたサミュエルは、地元YMCAの会長を務めたほか、YMCAとYWCAに多額の寄付も行なっています。さらに、ミシシッピ州ブラクストンの職業訓練校をサポートし、特別な支援を必要とする子供たちをケアする「サンシャイン・ソサエティ」の州代表を務めました。
こうした若者の支援に対する関心は、当社の価値観の基盤の1つとなっています。今日、SCジョンソン社では、識字プログラムやSTEMトレーニングなどの教育活動への資金提供や、支援を必要とする子供たちに希望を与える活動のサポートを行っています。
代々引き継がれるコミュニティ支援
サミュエルは、ビジネスは単にお金を稼ぐためだけのものではないと考えていました。彼が撒いたこの種は、後の世代によって育まれました。当社の基本理念や、社会で企業が果たすべき役割に対する当社独自の考え方を初めて成文化したのは、サミュエルの息子であるハーバート・F・ジョンソン・シニアでした。
その後、サミュエルの孫、H.F.ジョンソン・ジュニアは、この考えをさらに発展させ、社外のコミュニティが健全でなければ、社内に健やかな環境を育むことはできないという「インサイド・アウト」理論を打ち出しました。H.F.は生前、自らの資産のほとんどを寄付し、企業の慈善事業を支援しました。
当社4代目経営者、サム・ジョンソンもこの伝統を受け継ぎ、あらゆる場面で企業の社会的責任の実現やボランティア活動を奨励してきました。「多くの人が共感するのは、何よりも会社の利益を最優先にするリーダーよりも、地域社会の利益を考えるリーダーでしょう」と語っていたサム。1960年代から2000年まで、彼のリーダーシップの下で会社の規模が拡大するにつれ、慈善事業とボランティア精神という企業価値も進化していきました。
最近では、当社の現会長兼CEOフィスク・ジョンソンがこの歴史ある当社の伝統を引き継ぎ、毎年、税引き前利益の5パーセントを、世界中のご家庭の生活をよりよいものにするための慈善事業に充てています。ほんの一例ですが、2016年と2017年には、デング熱やジカ熱など蚊が媒介する病気と闘っているご家族の支援活動と関連製品に1,500万ドルの寄付を行いました。
当社の経営者は代々、会社の地域貢献活動を強化し、その範囲を拡大させてきました。とはいえ、この理念を最初に現実のものにし、その後1世紀以上にわたって受け継がれるための基礎を据えたのは、サミュエルでした。