ウィングスプレッド:フランク・ロイド・ライトが設計した最大規模のプレイリースタイルの住宅は、ジョンソン家の自宅
1939年に完成したこの邸宅は、ウィングスプレッドと名付けられました。
ウィングスプレッドは比類ないプレイリースタイルの住宅
1939年に完成したウィングスプレッドは、周囲の草原と美しく調和し、たくさんの窓や天窓から暖かい日の光がさんさんと降り注ぎます。フランク・ロイド・ライトはウィングスプレッドを「最後のプレイリーハウス」と呼びました。
フランク・ロイド・ライトは20世紀前半に、人間が自然と共に暮らすという自身の建築哲学の基礎を確立しました。彼が設計した「プレイリースタイル」の住宅は、この概念を実体化したものです。このスタイルは水平のラインと低い屋根が特徴で、地域の自然と調和する素材を使用しています。
ライトはプレイリースタイル建築を徐々に進化させ、リビングルームとダイニングルームなど人の集まるスペースを1つにまとめた「オープンプラン」の間取りを多く設計するようになります。このデザインは、自然な人の流れを作り、住人を自室から中央の共用スペースへ引き込むことを目的としていました。
天井からの雨漏りと、ライトの「率直な自己主張」
「率直な自己主張」で知られたライトは、どのような理由があっても自分の許可なしにウィングスプレッドに手を入れることを許しませんでした。しかし、斬新なデザインの中での生活が困難になってきたと、H.F.ジョンソンは繰り返しライトに説明しています。
こうしたやり取りは今も伝説として残っていますが、何といっても印象的な逸話は、やはりウィングスプレッドの屋根から雨が漏れたことでしょう。
4代目経営者のサム・ジョンソンが語った逸話があります。彼が13歳のときに公式なディナーパーティーの席で、急な豪雨と共に天井から雨水が漏れて、中央の席にいたH.F.ジョンソンの頭に降り注ぎました。
怒りに駆られたH.F.ジョンソンは、アリゾナ州フェニックスにいるライトにその場で電話をかけました。そしてライトに対し、ウィングスプレッドは美しいが、屋根に穴が空いており頭の上に水が落ちてきたぞと叫びました。
ライトも叫び返し、受話器から大きな声が響いたとサムは言っています。「それなら、椅子を動かせばいいだろう!」と。
「そのような住みにくさはあったものの、父や姉と私にとっては楽しいわが家でした」と、サムは語っています。
ジョンソン財団が所有する珠玉の建築
ウィングスプレッドはジョンソンファミリーが1950年代に暮らした家です。永遠のインスピレーションの源となることを願い、教育会議施設としてジョンソン財団に寄付されました。H.F.ジョンソンは、より健康的な環境と地域社会を築く専門家を招く機関として、ジョンソン財団を設立しました。
50年以上にわたり、ウィングスプレッドでは数多くの会議が開かれ、国立芸術基金や国際刑事裁判所、ナショナル・パブリック・ラジオなど、さまざまな組織や団体がここで誕生しました。
1989年、ウィングスプレッドはアメリカ合衆国国定歴史建造物に指定されました。
フランク・ロイド・ライト・ツアー:ウィングスプレッドを訪れる
ウィングスプレッドは、ウィスコンシン州ラシーンの本社から北へ約8キロメートルの位置にあります。アドミニストレーションビルとリサーチタワーを見学にお越しになり、近くにあるウィングスプレッドにもぜひお立ち寄りください。ジョンソン財団では、事前にご予約いただいた方への無料開放ツアーをご用意しています。
ウィスコンシン州にあるウィングスプレッドと8つの名所を紹介したフランク・ロイド・ライト・トレイルのアプリも旅行計画に便利です。AppleのApp StoreまたはGoogle Playからダウンロードできます。
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