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7分間の読み物

建築と科学が出会う、フランク・ロイド・ライト設計のSCジョンソン社リサーチタワー

1950年に竣工されたSCジョンソン社のリサーチタワーは、片持ち梁様式で建てられたもののなかで最も高い建造物の1つです。タワーの形状は、当社の名高いアドミニストレーションビルの設計にフランク・ロイド・ライトを起用した本人である、3代目経営者のH.F.ジョンソン・ジュニアから着想を得ています。当時、新しい施設をいかにユニークなものにするか思案していたH.F.ジョンソン・ジュニアは、ライトに「空高く上昇する」コンセプトを提案します。
 
ライトがその提案をかたちにすることで、至高の作品が仕上がりました。 
SCジョンソン社リサーチタワーの断面図
タワーは15階建てで、そのすべてが地下16メートルの深さまで続く中央コアによって支えられている。 
SCジョンソン社リサーチタワーのイラスト
壁は、5,800本のPyrex社製ガラスチューブと、2万1千個のレンガを敷き詰めた層でできています。

 

米国建築における「雑草の中に咲く一輪の花」

フランク・ロイド・ライトの有名建築物の1つであるこのタワーは、高さ46メートル以上、広さは12平方メートルにも及びます。一方で地面と接触している部分は、最も細い部分にあたる、幅たった4メートルの基盤で支えられています。そのため、タワーはあたかも空中に浮いているかのように見えます。まさにその屋内で革新的な製品開発を生み出す、創造性とインスピレーションの象徴です。
 
屋内は、四角形のフロアと丸い形の中2階が各階で交互に重なり合う構造となっており、それらが「直根型」コアによって支えられています。コアの中には、ビルのエレベーターや、階段、洗面所が設置されています。コアは地下16メートルの深さまで続いており、ちょうど背の高い木の根のような安定性を与えています。
フランク・ロイド・ライトによるリサーチタワーの建設
1947年から1950年にかけて、リサーチタワーの建設が行われる。

ライトは、自身のデザインを「太陽ラボ」または太陽の照る研究室と名付けています。また竣工式においては、商業用ビルに典型的なあまたの「冴えない」建造物の中で「雑草の中の一輪の花」となるよう願う、と語っています。

SCジョンソン社のリサーチタワー イノベーションの生まれる場所
リサーチタワーは、1950年から1982年にかけてSCジョンソン社の研究開発本部の拠点として、レイド、グレード、オフ!、プレッジなど数々の信頼できるブランドを生み出しました。 

これらのイノベーションの原動力となったのは、周囲を取り巻く素晴らしいデザイン環境だったのでしょうか? それとも、当時から革新的で、デザインを讃える企業文化だったのでしょうか? 

私たちはその両方だと考えています。このタワーは、アドミニストレーションビルと並んで、アメリカンデザインの金字塔として知られるようになりました。建物のシルエットは、永遠にクリエイティブなインスピレーションのシンボルとして、会社のレターヘッドや製品パッケージにも使われています。

リサーチタワーラボ
設計者であるライト氏の協力により、この建物のデザインにふさわしい内装を協力して作り上げたおかげで、内装仕上げの大部分に彼の影響が見られます。
新しい研究所が、科学者と研究内容のあらゆるニーズを確実に満たすよう、長期間の計画を費やしました。メインフロアと中2階が対となった各フロアは、研究所の管理者とスタッフによって慎重に考え抜かれた結果です。
 
対面でのウォークスルーや話し合いを促進するため、アドミニストレーションビル屋外の駐車場にメインフロアと中2階の実寸大の模型が設置されました。各フロアに研究器具や材料を入れて、一つ一つ模型が作られていきました。その模型をもとに調査、話し合い、再設置、改造が行われ、やっとのことで満を辞して装置サプライヤーに対して最終レイアウトが提出され、開発と詳細の調整が行われる運びとなりました。  
 
その結果出来上がったのが、その後何年にもわたりイノベーションと発見を可能にする最新鋭の施設です。ある科学者は次のように振り返っています。「シンクや水道の蛇口、電源がそこらじゅうにあるようだった。実験スペース、棚、実験用保管スペースは無限にあって、何年もずっと空のままの予備の保管スペースもあった。」
リサーチタワーラボ 2
リサーチタワーの中2階とフロアは、枝葉をささえる木のような構造のコアによって支えられる。
もし造りたいものがあるのなら良いものを造り上げるか、そうでなければ造らない方がましだ。今日のためではなく、明日のために建てるのだ。
3代目経営者、H.F.ジョンソン・ジュニア

いまだ約束の火を灯す当社の建築

1982年に定められた新しい建築基準法により、リサーチタワーの使用を続けるためには、屋外に非常階段を取り付けることが要求されました。熟考をかさねたのち、スタイリッシュなデザインを守るため、この歴史的な施設を閉鎖するという苦渋の決断を下しました。研究開発が成長を続け、タワーには十分なスペースがなかったという理由もあります。 
 
その31年後、このリサーチタワーを復旧し地上から数フロア分を再び一般に公開しようとする巨大プロジェクトが発足しました。建物の屋外と屋内どちらもを刷新し、エネルギー効率の高い機能が備わりました。Pyrex製のガラスチューブの窓まで徹底して掃除をしました(もちろん当社のウィンデックスガラスクリーナーを使ってです)。 
 
復旧の翌年にあたる2013年に、再びリサーチタワーがよみがえり、その明かりが夜空を灯しました。
当社では、今日までハーバート・Fとフランク・ロイド・ライトのコラボレーションを記念して無料の社内見学ツアーを開催し、世界中からの訪問客の皆様をお招きしています。タワー内の展覧会では、この建物内で生まれたイノベーションと、建築がいかに科学者の創造性を引き出してきたかをご覧いただくことができます。
 
当社会長兼CEOのフィスク・ジョンソンは次のように語っています。「私の祖父は、限りなく大胆な決断を数多く下してきましたが、その1つは莫大な費用にもかかわらずこれらの建物を建てたことです。私にとってこれらの建物は、祖父の決断の数々と、この会社を率いていく上での大胆さの大切さを視覚的に思い出させてくれる存在なのです。」
 
ぜひ皆様も足を運びタワーをご覧ください。当社のグローバル本社と敷地内のフランク・ロイド・ライトの作品を巡るツアーは、事前予約制で、無料で一般公開されています。これ以上に高々とそびえ立つイノベーションの証はありません。 
お客様と社員の安全を確保するため、SCジョンソン社は、引き続きグローバル本社キャンパスでの対面ツアーやプログラムを一時停止します。

新型コロナウイルス(COVID-19)に関する懸念を踏まえ、対面プログラムが再開する日は未定です。引き続きFacebookのVisit SC Johnson
で最新情報を提供します。

SCジョンソン社へお越しください。現在も使用されている当社のフランク・ロイド・ライト設計の本社建物を、その目でじっくりとご堪能ください。ウィスコンシン州ラシーンの本社で、心より皆様をお待ちしております。