メインコンテンツへ
3分間の読み物

サム・ジョンソンは、殺虫剤のレイドや芳香スプレーのグレードなどSCジョンソン社の人気ブランドを開発しました。

レイド、グレード、プレッジ、オフ!は、どれもよく知られたブランドです。おそらく皆さんもお使いになったことがあるでしょう。しかし、これらすべてがほんの数年の間に発売されたと知ったら、意外に思われるかもしれません。どの製品も、4代目経営者サム・ジョンソン率いる新製品部門が開発しました。
サム・C・ジョンソン・ジュニアとSCジョンソン社の新製品部門は、レイド、グレード、プレッジ、オフ!などのブランドを開発
サムは1955年から1958年にかけて新製品部門を指揮

SCジョンソン社のブランドはワックス製品以外にも拡大

サムの率いる新製品部門が初めて作った殺虫スプレーが、のちにレイドとして発売されるきっかけになった面白いエピソードがあります。サムは、承認を得るため父であるH.F.ジョンソン・ジュニアに製品を見せて、これこそ今後わが社が取り組むべき仕事だと説明しました。 

しかし、父親はスプレー缶を見てこう言ったそうです。「わが社はワックスを含まない製品は作らないことを分かっているのか?」 サムは、「この製品に少しワックスを加えることもできますが、それで殺虫効果が高まるとは思えませんね」と答えました。

冗談のつもりだったのかもしれませんが、サムの答えには重要な指摘が込められていました。創業から70年を迎えたこの時、このままワックス製品を開発していくだけでは、20世紀後半という時代の中で会社を成長させるのは難しかったでしょう。 

むしろ、次第に競争が激しくなる市場で勝ち続けるための、発展的なアイデアと製品を取り入れる必要がありました。サムはのちにこう語っています。「はっきり言って、新しい優れた製品がなければ、企業としてはおしまいだ。」

ジョンソン・ワックスの家具のつや出し剤「プレッジ」1958年のビンテージ広告
プレッジの発売は1958年。当社史上最大の広告キャンペーンを展開しました。

ジョンソン・ワックスの虫よけスプレー「オフ!」1957年のビンテージ広告
1957年発売のオフ!は、当時の市場で販売されていた虫よけ剤よりも効果が高く、人気を集めました。

レイド、グレイド、プレッジ、オフ!が成功するブランドとなる

サムの率いる新製品部門が1955年から1958年にかけて生みだした数々の製品は、今も当社の人気ブランドであり続けています。こうした製品には、殺虫剤のレイドや芳香スプレーのグレード、家具用ワックスのプレッジ、虫よけのオフ!などが含まれます。
 
サムはやがて新製品部門から他の指導的立場に移行し、その業務の中でガラスクリーナーのWindex®ジップロックブランドの袋製品浴室用洗剤のスクラビングバブルほか、さまざまなブランドの買収で活躍しました。
 
SCジョンソン社の研究室で開発されたその他の素晴らしい製品には、ひげそりジェルのEdge®やSkintimate®、車用ワックスのKit®、保湿ローションのキュレルなどがあります。これらは最終的にそれぞれの持ち味に合う企業に売却されましたが、SCジョンソン社はこうした製品を開発できたことを誇りに思っています。

ジョンソン・ワックスの殺虫剤「レイド」1955年のビンテージ広告
完成までに70種類以上の試作品を作って研究室と実際の環境でテストを繰り返し、1955年に最初のレイドを発売しました。
ジョンソン・ワックスの芳香スプレー「グレード」1956年のビンテージ広告
1956年発売のグレードは、それまでになかったメリットを消費者に提供しました。

サム・ジョンソンがチャンスとイノベーションをもたらす 

多くのヒット製品を生みだしたサムですが、開発中はさまざまな困難に直面しました。たとえば1956年には、チームで開発中だった家具のつや出し剤に対し、一部の科学者から諦めの声が挙がりました。消費者に提供する十分なメリットが無いというのです。

しかし、サムの考えは違っていました。拭き取り仕上げが必要ない、一度拭くだけで完了する簡単な家具のつや出し剤というアイデアに可能性を感じました。とはいえ、初期の実験では塗布する量を一定に保つのは難しいという結果が出ていました。

そんなとき彼のチームは、エアゾール容器を使えば噴出量を一定に保ちやすくなることに気づきました。新しい試作品を1,000人の消費者にテストしてもらったところ、否定的な意見はありませんでした。それどころか、テストに参加した消費者は、つや出し剤がほこり防止の役割を果たすなどの、考えてもみなかった可能性にまで気づいたのです。 

60年を経た今も、プレッジは世界中のご家庭で愛用されています。

要するに、新しい優れた製品がなければ、企業としてはおしまいだ。
SCジョンソン社4代目経営者、サム・ジョンソン
SCジョンソン社の多様化と拡大を目指したサムは、代々の経営者たちが想像もしなかったほどの貢献を会社にもたらしました。さらに重要なことに、彼はイノベーションと新製品の開発を心から愛していました。
 
サムは、SCジョンソン社の理念についての書籍『The Essence of a Family Enterprise』の中で、こう語っています。「消費者が次に求めるものは何かを常に考え、研究し、把握しようとしなければならない。それこそが、何よりもビジネスの醍醐味である。」